
これまで、絵本や小説という形で、それぞれ異なる物語をつくってきました。
子どもに向けて描いたもの。
子どもと大人が一緒に読めるもの。
そして、大人の人生を描いた小説。
作品の形も、登場人物も、物語も違います。
今回は、これまでに生まれた3つの作品を、一冊ずつご紹介します。
絵本『みんなちがってみんないい』

最初にご紹介するのは、以前制作した絵本『みんなちがってみんないい』です。
人は一人ひとり違います。
好きなものも違えば、苦手なものも違う。
得意なことも、考え方も、感じ方も違います。
子どもたちは成長していく中で、少しずつ「自分」と「周り」の違いに気づいていきます。
「あの子はできるのに、自分はできない」
「みんなは好きなのに、自分は好きじゃない」
「どうして自分だけ違うんだろう」
そんなふうに、自分と誰かを比べてしまうこともあるかもしれません。
けれど、違うことそのものが悪いわけではありません。
誰かが得意なことを自分が苦手だったり、自分が好きなことを誰かが好きではなかったり。
いろいろな人がいて、いろいろな違いがある。
だからこそ、一人ひとりの個性があります。
『みんなちがってみんないい』は、そんな**「違い」について、子どもたちと一緒に考えてもらうための絵本**です。
読み終わったあとに、
「自分の好きなところってどこだろう?」
「お友だちと違うところって何だろう?」
そんな会話が生まれるきっかけにもなればうれしいです。
自分と誰かが違うこと。
そして、自分自身にも、その人にしかないものがあること。
小さな子どもたちにも伝わる形で届けたいと思い、絵本という形にしました。
絵本『みんなとちがう。でも、ぼくはぼくのままでいい。―ボテうさのおはなし―』

次にご紹介するのは、小さなうさぎ「ボテうさ」の物語。
『みんなとちがう。でも、ぼくはぼくのままでいい。―ボテうさのおはなし―』です。
タイトルにもあるように、この作品で描いているのは「みんなとの違い」と「自分らしさ」。
主人公は、ボテうさ。
周りと同じようにできないことがあったり、自分なりのペースがあったり。
私たちは子どもの頃から、知らないうちに周りを見ながら生きています。
「みんなはできている」
「普通はこうする」
「自分も同じようにしなければ」
そんな言葉に、自分自身を合わせようとしてしまうことがあります。
でも、本当に全員が同じでなければならないのでしょうか。
誰かよりゆっくりでもいい。
好きなものがみんなと違ってもいい。
得意なことと苦手なことがあってもいい。
ボテうさの物語を通して、そんなことを少しだけ考えてもらえたらと思っています。
そして、この作品は子どもだけのための絵本ではありません。
むしろ、大人になった人にも読んでもらいたい作品です。
子どもの頃に「みんなと違う」と感じたこと。
大人になってから周りと自分を比べてしまったこと。
誰かの速さについていこうとして、少し疲れてしまったこと。
大人になった今だからこそ、ボテうさの姿に重なるものがあるかもしれません。
もちろん、親子で読むのもおすすめです。
読み聞かせながら、
「ボテうさは今、どんな気持ちだと思う?」
「あなたならどうする?」
そんな話をしてみるのも、この絵本の楽しみ方のひとつです。
答えを教えるためだけではなく、子ども自身が感じたことを話せる絵本になってほしいと思っています。
物語の詳しい内容や、その先でボテうさが何を見つけるのかは、ここではあえて書きません。
ぜひページをめくりながら、ボテうさと一緒に見つけてみてください。
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小説『余白にいた人たち―五人の人生、一杯の珈琲―』

そして3作品目は、絵本ではなく小説です。
『余白にいた人たち―五人の人生、一杯の珈琲―』
この物語に登場するのは、
梓、綾、咲良、飛鳥、悟。
五人の人たちです。
一つの場所にいた五人。
けれど当然、五人にはそれぞれの生活があり、それぞれの過去があり、それぞれが抱えているものがあります。
同じ場所にいるからといって、同じものを見ているとは限りません。
自分にとっては何気なく言った一言が、誰かの中にはずっと残っているかもしれない。
自分から見れば「大丈夫そう」に見える人にも、自分からは見えない事情があるかもしれない。
誰かの人生を外から見ただけでは、その人が何を考え、何を選び、何を諦めてきたのかまでは分かりません。
『余白にいた人たち』では、そんな五人の人生を、それぞれの視点から描いています。
そして、この作品には五つの入口があります。
読書ガイドに書いた言葉は、
「どこからでも、どうぞ。」
最初のページから順番に読むのも、もちろん一つの読み方です。
でも、気になる人物がいれば、その人から物語に入っても構いません。
梓から見る世界。
綾から見る世界。
咲良から見る世界。
飛鳥から見る世界。
悟から見る世界。
誰の場所に立つかによって、それまでとは違った景色が見えてくることがあります。
「あの場面には、こんな背景があったのか」
「あの言葉を、この人はこう受け取っていたのか」
読み進める中で、最初に抱いた印象が少しずつ変わることもあるかもしれません。
そして、この作品の中で大切にしているものの一つが「余白」です。
人生は、いつも思い通りに進むわけではありません。
頑張ったからといって、必ず報われるとも限らない。
思うように進めず、立ち止まる時間もあります。
でも、立ち止まった時間や、報われなかった努力だけで、その人の価値が決まるわけではない。
人生の中に生まれた「余白」にいる人たちを、五人それぞれの人生を通して描いた物語です。
珈琲を一杯飲むように、少しゆっくりとページをめくってもらえたらと思います。
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絵本と小説。違う形で生まれた3つの物語
『みんなちがってみんないい』
『みんなとちがう。でも、ぼくはぼくのままでいい。―ボテうさのおはなし―』
『余白にいた人たち―五人の人生、一杯の珈琲―』
3作品は、それぞれ独立した物語です。
絵本と小説では、描き方も読んでほしい場面も違います。
それでも、こうして並べてみると、作品の根っこにはどこか共通するものがあります。
誰かと違っていてもいい。
誰かと同じ速さで歩かなくてもいい。
立ち止まる時間があってもいい。
そして、自分ではない誰かにも、自分からは見えていない人生がある。
子どもと一緒に読む一冊。
大人になった自分自身に読む一冊。
そして、珈琲を片手にゆっくりと向き合う一冊。
3冊すべてを同じように読んでもらう必要はありません。
今の自分が少し気になったもの。
タイトルを見て、なぜか心に残ったもの。
そんな一冊から、物語の中へ入ってもらえたらうれしいです。

